hogashi.*

日記から何から

知らないことの面白さ

 「information or inspiration?」という展示をサントリー美術館というところに見に行きました。とっても楽しかったということを、あまりネタバレしないように書きます。少しも知らずに行きたい!という方は今すぐ閉じて素早く行きましょう。

 サイトにも説明されている通り、展示物を 2つの見方で見るというものです。どちらの見方も体験するには、順路を 2セット回ります。このあたりは、展示場所に入る前に、口頭で説明されます。以下その口頭説明でされた程度の知識を使って感想を書いていきます。

 2つの見方は、情報の多寡です。よくある展示では、展示物についての説明が少しずつ書かれています。ところが、この展示では、とっても詳しい説明が沢山書かれた順路と、説明がないどころか展示物自体の見え方も制限されている順路があるのです。前者が information 、後者が inspiration と呼称されています。
 まずどちらの順路を見るべきか、というのは、特に示されていません。個人的におすすめすると、先に inspiration を見てから information 、がよいと思います (加えて時間があれば、もう一度 inspiration を見ると、演出のポイントがわかって面白いかも? と今思いました)。

 展示物は、2順路で全く同じものを見ることもあれば、 inspiration では模した別の何かを見たり触ったりすることもあり、次はどんな展示物でどういうことができるのか、さっき見た展示物の本当の姿はどんなものか、など、ずっとわくわく楽しい観覧ができました。
 前を行く方々の中には、 inspiration の展示を見て「説明が無いからわからないね」とか「もっとちゃんと見たいなあ」とか、煮え切らない思いを呟かれている方も居ました。多分それは正しくて、 information で理解したときに強く「なるほど~~!」となることができるはずです。

 展示を通して思ったのは、自分がどう感じるのかを把握するのは大切なのだなということでした。説明を読んで、「ここが良い点です」と言われてふむふむと思ってしまうと、そう言っているのだからそうなのだろう、で感じ方を制限してしまう気がしています (個人的な意見です)。一旦何も知らずに見れば、形がかわいいとか、色が綺麗とか、機構が面白いとか、使いづらそうとか、感じられるだけ感じることができます。それから説明を見ることで、「そういう視点もあるのか」とか「ここはあえて使いづらくしていたのか」とか、深い造詣がより深いものになると思います。説明では触れられていない、自分だけの好きな点を見つけられる、という利点もあるでしょう。
 これは展示に限らず、何についてもそうだろうと思っていて、映画や小説でも、一旦見てから、詳しい説明を聞いて、「そういえばそんなシーンもあったな」とか「このセリフそんな意味合いだったの」とか、より印象強くなったり、見方がガラッと変わったりする楽しみがあります。

 というので、展示はとても楽しく、またいろいろ考えるきっかけにもなりました。ぜひ行ってみてください。

難しい言葉が使えない問題

 何の会話をするにあたっても、できるだけ平易な単語や表現を使うように心がけていたところ、一語で状態を厳密に示せる熟語や横文字の言葉などが全く出てこない状態になっている。
 平易さを徹底していたのは、会話を円滑に進めようと思ったからだった。会話の上で理解ができない単語が登場すると、わからないまま進んでしまったり、わかった気にはなったけど実はぜんぜん違う意味だったりして、思うように意見交換がされないことがある。だから、誰にでもわかる単語や表現を使って、ひとまず正確に意見を伝えようと思っていたのだった。
 これはそれなりに効果があって、ちゃんと伝わるので、相手には僕の意見が伝わることが多くて助かっている。*1
 ただし、簡潔さに欠けることがしばしばある。平易な単語を並べ連ねて意見を述べようとするのだけど、単語が平易すぎる故に沢山の単語が部品として必要となり、言いたいことが完成するまでの単語数が嵩む。相手はそんなに長々と話されたところで覚えていられない。日本語は特に顕著で、修飾語をすべて覚えておき、最後の述語が登場したら意味を確認するから、覚えられなかった修飾語は確認不可能となる。
 加えて、平易な言葉ばかり使っていると、会話の相手が使う言葉もわからないという問題がある。相手は難しい言葉を難なく使うことができて、表現力が豊かなのだけど、こちらはそれを受け取る準備が皆無、という状態。いつも、何度も相手に噛み砕いてもらってようやく理解している。
 対策としては本とかブログとか、とにかく文章を読むことであろうと思っている。自分の知らない言葉を自分の頭に入れる機会を増やしたい。

*1:あるいは僕がそう思っているだけかもしれない

今日の急にわかった 数学的帰納法

 今日の急にわかったは数学的帰納法です。
 習うときに聞く言葉は、

  • n=1 のとき成り立つことを示す
  • n=k のとき成り立つと仮定して、 n=k+1 のとき成り立つことを示す

という 2文で、例を見ながら解けたし、 覚えられたから、特に困らなかった。ただ、なんでこれで示せるのかは腑に落ちないままで、さっきわかった。

 まず、数学的帰納法でやりたいことは、「自然数 n を含む命題 P(n) が成り立つ」を証明すること。ただ、「n が 2 でも 3 でもできたし n が 100 でもできるよ」とは言えなくて、無限個の自然数すべてについて成り立つのをいちいち示すのも有限時間ではできない。
 そこで、「ある自然数 k と、その次の数 k+1」を考える。「n が k のとき成り立つならば、 n が k+1 のときも成り立つ」ことが示せれば、 k がどれだけ大きくなろうと、 n=k で成り立つとき必ず n=k+1 でも成り立つ。つまり数の大きさに関わらない、相対的な条件。ただこの条件のすごいところは、成り立つ n=k をひとつ見つければ、 n=k+1 では成り立つし、 k+1 を k と見ればその次も成り立つので、その後ずっと成り立つことが示せる点。ちなみにこの条件は、 n が k のときに成り立たない場合には、 n が k+1 のとき成り立つかどうかは知ることはできない。
 それに加えて、絶対的な条件である「n が 1 のとき成り立つ」を示す。すると、 1 が成り立って、その後ずっと成り立つので、自然数すべてで成り立つ、と言えるようになる。

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相対的な条件によって、 1 (絶対的な条件)から連鎖的に示されていく

 教科書から進んだ理解をすると、 n=1 では成り立たないけど、 n=2 で成り立つ、というとき、 k と k+1 の条件が示せたら、 1 はダメだけど、 2 以降の自然数すべてでは成り立つことが示せる。もっと言うと、 k と k+1 ではなく、 k と k+0.1 とかもできて、 1 から 0.1 刻みに大きくしていくときの実数すべてで成り立つ、とかも示せる。 k と k-1 の条件が示せたら、整数すべてで成り立つことも示せる。この条件は何でもよくて、 k と 2k + 1 とかでもよい。 2倍して 1足して、とやっていく数すべてについて成り立つことが示せる。

 数学的帰納法ってめっちゃ便利だったんですね、 k と k+1 の条件が上手いこと示せる場合に限るけど……。

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